精神武装教育~専門小学校の建設~8

昔ながらの義務教育が無くなって、早三年。
この教育の在り方を確立するまでかかった年数にはまだまだ及ばない…

私は、この取り組みは最高だと思った。

自由度の高い教育論を唱えてきて随分苦悩したが、この発想だけは無かったな…と感慨深い。

何より皆、楽しそうだ…
一つのコミュニティとしての理想のように。
村の集落とでも呼ぼうか?
年齢からすれば、私が村長か?
先生は天災のような物だ。

私達はこれから生き抜く術を磨いていくのだ。

しかし…一つの疑問も浮かぶ

この楽しいコミュニティに依存してしまう人間も出てくるのではないか…?
いろいろな専門小学校を転々として生涯を終えようとするような…
そういう社会性の無い人間が産まれたらどうするのだろうか?

「はい、ではお仕事見学に行きます」

ゆったりと自動運転のバスに身を任せる。
それからある飲食店に到着した。

「ここで働いている方達は、あなた方の先輩に当たります、さらには現役の小学生達です」

なんと…、この小学校では実技がそのまま労働に置き換えられているのか…
ああ、ならば小学校を転々としても社会には出ている状態になるのか…

革新的な構造原理だ。

私が今までやってきたことは何だったのだろうか…少し溜め息が出た。